【ツアーレポート】アオバトガイドツアー、いよいよ一般参加者もスタート!しかし天気予報は前日まで雨……ツアー催行なるか?

こんにちは。アオバトの谷PROJECTのガイドを務めますしげゆかです。6月12日にテストガイドを行い、無事アオバトを観察することができました。いよいよ一般の方も参加するツアーが6月27日よりスタート。その時の様子のレポートをお送りいたします。

既にご予約済みの方や、今後参加される方のご参考になればと思います。

目次

1週間前の天気予報の不安定さ

1週間前の天気予報は信頼度が低く、1日1日で予報がどんどん変更されていきます。

群馬県の南部は、ツアー1週間前の降水確率は40%程度でした。若干不安だけど問題ないかな……といったところだったのですが、梅雨時ということもあり、参加者の方には「天気次第では中止を判断するかもしれません」とあらかじめメールでご連絡を致しました。

降水確率100%まで上がる~中止の判断

その後、天気予報はどんどん悪い方向へ変更され、4日前の時点で降水確率は100%に。100%なら中止か……迷います。万が一のことを考えて、参加者の方と相談し、前日の天気予報まで中止の判断を待っていただく形に。

しかし、その後天気予報が晴れの方へ修正されることは無く、雨(しかも土砂降りという予報)のままだったので、運営側から「中止」と判断とさせていただきました。とても残念です。

ツアー当日の天気は……?

ツアーは中止になりましたが、当日の天気は気になります。実際雨だったらアオバトはどんな感じで飛来するのかも気になりますし、朝5時に起きて現場へ行ってみることにしました。

さて気になるお天気は……。

早朝の天気

曇り……!!

曇りなら問題なく催行できます。うーん、山の天気は天気予報で判断するのが難しい。アオバト、見てもらいたかったです。

ちなみに、アオバトガイドツアーの宿である「すりばち荘」の名の由来ですが、上の写真のように、空がすりばちのような形をしていて、その底に宿があるからなんだそうです。

早朝、すりばち荘からはアオバトやアカショウビンのピロロロ……という鳴き声が聴こえてきました。気を取り直して、とりあえず現場まで向かうことにします。

ゲートまで車を走らせている途中、石が道路をふさいでいました。

道路をふさぐ落石

石は、主にシカやサルが斜面を駆け上がった時に落ちるようです。この周辺では、昼間でも車を走らせているとシカを見かけることが多いです。気づいたら彫刻のようにぬっと立っているので結構驚くんですよね。(シカ側も驚いてると思いますが)

観察小屋までの道は、こういった危険を防ぐため、ヘルメットの着用をお願いしています。無料で貸し出ししています。

観察小屋へ到着~アオバトを待つ

5時50分、観察小屋の中に入りました。椅子を用意して荷物を整え、アオバトの飛来を待ちます。

今までの経験上、周辺からアオバトの鳴き声が聞こえてくるとそろそろ降りてくる合図なので、目よりも耳に集中して待つことにします。

時折、ミソサザイがとても近くでさえずっていました。ミソサザイは渓流の音に負けない非常に通る声で鳴くのですが、大きさはピンポン玉くらいの小さい鳥です。

アオバトを待つアオバさん

アオバトが来る時間帯は、アオバトに聞かないとわかりません。早い時なら観察小屋に入って30分くらいで来た時もありますし、2時間、4時間後の時もあります。近くにクマタカがいたりしたら、来ない時だってあります。

自然相手のツアーなので、ご参加いただく方には、その点は承知の上ご参加をお願いしているのですが、せっかくここまで来たのですから、やっぱりアオバトを見て帰っていただきたいです。来るのか来ないのか……。ガイド側も、この時間が一番ドキドキします。

待つこと1時間……鳴き声が聞こえてきた!

オ~ア~オ、オアオ~……

どこか哀愁を帯びた、あの独特なアオバトの鳴き声が聞こえてきました。沢の音も大きいので、空耳かと思ったら、だんだんと鳴き声が増えて来たのでやっぱり近くにやってきたことがわかります。この声が聞こえると、まずは一安心。よほどのことが無い限り、待てば降りてくるはずです。

6時51分、樹上に1羽のアオバトのメスの姿を確認。いつものパターンなら、ここからさらに数羽が樹上に集まり、1羽が降りると他の個体もそれに続くはずです。

しかし――メスが1羽降りるも、ほかに続くものはおらず、そのメスは飲み終わったら飛び去ってしまいました。単独行動しているメスだったのでしょうか?他のアオバトはどこへ……むむ……。

アオバトたちがやってきた!

その40分後のことです。ようやく樹上にアオバトが集まりはじめ、鉱泉のまわりを取り囲みはじめました。ここまでくれば、あと少し!

実は、この時が一番アオバトが緊張している瞬間。普段生活のほとんどを樹上で過ごしているアオバトは、地上に降りるということは非常に危険が伴う行動です。臆病で神経質な性質もあいまって、緊張度はMAX。鉱水は飲みたい、でも怖い……誰か先に降りてくれないかな、君が行ってくれないか、というような相談をしているようにも思えます。

そのため、この時は観察側も、カメラのシャッター音を響かせたり、観察窓の前で動いたりしないように注意することが大事です。

樹上の群れから1羽が降り立ち、他の鳥もそれに続き、鉱泉を飲み始めます。アオバトたちは飲むことに夢中になり、緊張が解けてくるので、ここでようやくカメラ撮影などしてもアオバトへの影響は少なくなります。

この日も、同じように1羽が覚悟を決めたかのように降り立ち、それに他の個体が続いていきました。1mほどの大きさの鉱泉は、みるみるうちにアオバトたちで満員御礼となりました。

今日も、姿をみせてくれた!そんな風にほっとします。

安心したところで、アオバトを見ながらちょっとやってみようと思ったことがあります。

すりばち荘よりくんできた源泉

それは……鉱水を飲むアオバトを見ながら、同じく自分も鉱水を飲むこと!よりアオバトの気持ちに寄り添えること請け合い……?自分はいったい何をやっているのか?なんだか妙な気分になりました。
源泉はすりばち荘で手軽にくめるので、アオバトたちが飲んでいる鉱水は一体どんな味なのか、是非現地に来て確かめて下さいね。(アオバトが飲んでいる場所からさらに上流より引いています。成分は同じです。)

1羽のアオバトが飲む秒数を数えてみた

アオバトの谷の鉱泉は、海とは違って飲む場所が限られた空間なので、アオバトが鉱泉に降り立ってから飛び立つまで、ずっと目で追っていれば観察することができます。そこで、1羽の個体がどれくらい鉱水を飲むのか測ってみました。

オス……12秒、8秒、22秒、23秒、16秒
メス……14秒、10秒、10秒

わりと10秒~30秒くらいで飛び去るようです。

その場の思い付き&iPhoneのストップウォッチで測ったのと、サンプル数も少ないので正確なデータではないですが。ずーっとごくごく飲んでるイメージだったので、結構短時間で飛び去るんだなぁと思いました。ただし、1日の量がこれで終わりなのか、再び鉱泉に降りて飲んでいるのかはわかりません。

交尾や目の前で鳴く姿も

アオバトの数が多いのは、一番最初の群れ。鉱泉をぐるっと取り囲むほど集まったかと思えば、数分後にはパラパラ5羽~10羽くらいの群れとなりました。かと思えば数多くくるときもあり、波がある感じ。

樹上でじっとするアオバトたち

鉱泉には多くのオスメスが集まるので、お見合いの場所でもあります。この日、交尾をする様子を観察することができました。また、目の前の枝にとまったオスが、鳴いてる姿も見ることができました。

この日の観察記録

2021年6月27日
5時50分 観察小屋に入る
6時49分 アオバトの鳴き声が聞こえる
6時51分 樹上に1羽メスがとまる、鉱泉へ降り立つ
6時56分 飲み終わり飛び去る
7時30分 アオバトが樹上に集まり始める
7時37分 メスが先陣をきって降りる。それに続き20羽ほどが降り、飲み始める。
8時2分 交尾を確認
8時15分 鉱泉にはアオバトなし、樹上に5羽いるが降りずにじっとしている
8時20分 オスが樹上で鳴く姿を確認
8時27分 樹上のアオバトたちが何かに警戒して飛び去ったので、周りに他のアオバトがいないか確認してから観察小屋を出る

現地にいても、当日まで天気の判断は難しい

と、いろいろと楽しむことができたのですが、中止判断をしなければこういった体験は参加者の方もできたはずです。ガイドの私だけが楽しんでも仕方がない……。天気予報でツアーの中止判断をするのは、とても難しいことがわかりました。

キャンセル方法の見直し

天気予報が雨でも晴れる時がある。また、天気予報が晴れでも雨の時がある。こうなると運営側でも当日になってみないと中止の判断をすることができません。

また、天気予報が変わるたびに逐一メール等で連絡するのは、参加者の方にも負担になります。

そこで、キャンセル方法を以下のように見直すことにしました。

チェックイン前にご連絡を頂ければ、キャンセル料は一切頂きません。

大きな台風や災害、現場の状況変化など無い限り、運営側から事前に中止の連絡を行うことは致しません。キャンセル料の撤廃により、参加・不参加をお客様の判断で柔軟に行って頂ければと思います。

これにより、より気軽にご予約をしていただけるようになったかと思います。是非、ツアーへのご参加、お待ちしております。

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この記事を書いた人

群馬県上野村のアオバト飛来地を管理、保全しています。希少な場所を通じて、アオバトや自然の大切さを伝えるために、完全予約制・少人数のガイドツアーを運営。

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